『気になる嫁さん』、気になるもの(4)

CSでの「気になる嫁さん」全40話の放映も、いよいよ終盤戦に入り、先日、ついに伝説の第27話「ただいま撮影中!」が放映されました。

この回は、冒頭で石立鉄男さんが日本テレビの生田スタジオ前に登場し、「これから、『気になる嫁さん』の撮影に行くところです」と語り始め、この回全体を通してドラマのメイキング風景をドキュメンタリータッチで紹介していく内容となっています。


CSでの放映時には、ツイッターに以下のようなつぶやきが見られました。やはり、皆さん、この回はかなり注目しているようですね。

「伝説の第27話、絶対に観ます!」

「石立ドラマに、こんな異色の回があったんですね」

「ウワサの第27話を見た!」

「ついに第27話。これは貴重」

「現実との垣根を壊した脱ドラマ」

中には、「本当に脚本が間に合わず、苦肉の策で撮影風景を混ぜたのでは?」
みたいなつぶやきもありましたが、残念ながら、これは当たっていないと思います。

なぜなら、この回はメイキング風な構成であっても、実は、本当のメイキング風景を写しているわけではないからです。すべては「こんな具合に、ドラマを作っています」ということを見せるため、制作風景を再現したコメディーなんですね。セットの準備や、テスト、本番、編集といった手間は通常のドラマ制作と何ら変わらないと思われます。もしかしたら、慣れない試みで余計に手間取っているぐらいかもしれません。

石立鉄男さん、榊原るみさんを始め、佐野周二さん、山田吾一さん、山本紀彦さん、佐野守さん、富士真奈美さんらもドラマに出演している俳優して登場しますが、みなさん、素を見せているわけではなく、松木ひろし脚本、千野皓司監督による「制作風景コメディー」を演じているのです。

例えば、石立鉄男さんは、俳優「石立鉄男」として登場しますが、それはドラマの「文彦」をさらに軽くしたような、オチャラケ・キャラの「石立鉄男」です。石立ファンの方が見たら、「あれは本当のカレじゃない」なんて云うに違いありません。

同じく、佐野周二さんも、ドラマの「呂之助」そのもので登場します。小津、木下、成瀬といった巨匠の映画に出演してきた本当の佐野周二さんは、スタッフをどやしつけるぐらいの貫録があったはずで、「呂之助」風の「佐野周二」を演じているのは明らかです。

苦肉の策で撮影風景を混ぜたどころか、よく練ったシナリオで、しゃれたコメディーにするあたりは、松木ひろし氏、ベテラン映画人のスタッフ、そして芸達者な俳優陣ならではの芸当と言えるでしょう。まさしく、「伝説の第27話」ですね。

さて、その制作スタッフですが、撮影風景シーンのどこかに写っているはず。こういう裏方のみなさんの写真は、あまりメディアに露出しないので、断定は難しいのですが、勝手な推測をしてみました。

撮影風景シーンの下の写真、左から4番目、グレーの縞模様のセーターを着た、オールバックの男性、たぶん千野皓司監督です。

左から2番目、後方の女性は、記録(スクリプター)の桑原みどりさんだと思われます。


日本映画監督協会のホームページより。1993年8月6日、にっかつ撮影所にて。
右、千野皓司監督。

劇中、石立鉄男さんが「製作担当はたいへんです」と紹介した、何やら帳面と向き合っていた男性(下の写真)、ユニオン映画プロデューサー、山本剛正さん本人だと思われます。

廊下で石立鉄男さんとすれ違う「助監督」さんは、おそらく、荒木功さん。この『気になる嫁さん』では、クレジットもされていない駆け出しでしたが、後にユニオン映画の社長になるなんて、このときは、誰も知る由もなかったわけですね(笑)。


『パパと呼ばないで』DVD特典インタビューより(2003年)。
約30年後のふたりです。

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